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2026.02.15

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甲府の食文化を紐解く!武田信玄の時代から続く発酵食品の奥深い歴史

甲府の食卓を彩る味噌やワイン。その豊かな発酵文化の始まりには、武田信玄の知恵と、盆地ならではの気候風土がありました。今回は、戦国時代から現代まで、甲府の地で発酵食品がどのように育まれてきたのか、その物語を紐解いていきます。信玄ゆかりの甲州みそや甲州ワインの歴史を知れば、甲府の食がもっと味わい深く感じられるはず。旅のお土産選びにも、ぜひ、お役立てください。

甲府と発酵食品の歴史的なつながり

甲府の食文化を語る上で欠かせないのが、古くから暮らしに根付いてきた発酵食品です。戦国時代から現代に至るまで、その知恵と技術は大切に受け継がれてきました。ここでは、甲府と発酵食品の深い歴史的な関係について解説します。

武田信玄の時代と発酵文化の礎

甲府における発酵文化の礎は、戦国時代の武将・武田信玄によって築かれたといわれています。信玄は、兵士たちの力を支える軍用食として、保存性に優れ栄養価も高い味噌の製造を領民にすすめました。 これが、現代に伝わる「甲州みそ」のルーツと考えられています。 当時、山に囲まれた甲斐国では塩が貴重であったため、味噌は塩分を蓄えるという重要な役割も担っていました。 信玄が味噌づくりを奨励したことは、戦に備えるだけでなく、人々の食生活を豊かにすることにもつながりました。

甲府の気候風土が育んだ発酵食品

甲府盆地特有の気候風土も、味噌やワインといった発酵食品づくりを大きく後押ししてきました。 四方を山々に囲まれているため、夏は暑く、冬は厳しい寒さに見舞われます。この大きな寒暖差と、年間の日照時間が長いという特徴が、発酵食品の味わいを深く、豊かにしてきたのです。

甲府の気候風土発酵食品への影響
大きな寒暖差味噌や醤油の熟成をじっくりと促し、味に深みとコクを与えます。また、果実の糖度を高めることにもつながります。
冬の厳しい寒さと乾燥雑菌の繁殖を抑え、味噌や漬物など、長期保存を目的とした発酵食品づくりに適した環境をつくります。
日本有数の日照時間ワインの原料となるブドウなど、果樹の栽培に非常に適しており、糖度の高い良質な果物が育ちます。

甲府の歴史を物語る代表的な発酵食品

甲府の食文化を深く知る上で欠かせないのが、武田信玄の時代から続く発酵食品です。ここでは、甲府の歴史とともに歩んできた代表的な発酵食品である「甲州みそ」と「甲州ワイン」について、その背景を解説します。

甲州みそ 武田信玄が奨励した軍用食

甲州みそは、戦国時代の武将・武田信玄がその製法と普及を奨励したことで知られる味噌です。甲斐国(現在の山梨県)は山がちで米の生産量が限られていたため、信玄は米に加えて麦の栽培を推し進めました。その結果、甲州みそは米麹と麦麹の両方を用いて仕込まれるのが特徴となり、さっぱりとした風味の中にやさしい甘みが感じられます。保存性が高く栄養価にも優れたこの味噌は、戦の際の貴重な兵糧として重宝されただけでなく、信玄が進軍する際、食料の腐敗を防ぐために味噌を活用していたことが文献にも記されており、実戦においても重要な役割を果たしていたと伝えられています。

“ほうとう” 陣中食から郷土料理への変遷

甲州みそを使った料理の中で最もよく知られているのが、山梨県の郷土料理「ほうとう」です。ほうとうは、小麦粉で作った幅広の麺を、かぼちゃなどの野菜とともに具だくさんな味噌仕立ての汁で煮込んだ料理で、調理が簡単で栄養バランスにも優れていることから、武田信玄が陣中食として取り入れたと伝えられています。その味の決め手となるのが甲州みそです。甲州みそに使われる米と大麦、そして麺の小麦という三つの穀物の組み合わせには、米の生産が限られていた甲斐国ならではの知恵が表れています。たっぷりの野菜を加えるスタイルも、小麦粉を抑えつつ栄養と満足感を得るためだったという説があり、もともとは戦場の食事でしたが、今では甲州の家庭の味として、郷土を代表する料理となっています。

“甲州ワイン” 日本ワイン発祥の地としての歩み

甲府市を中心とする山梨県は「日本ワイン発祥の地」として知られています。 その歴史は明治時代に始まり、甲府の山田宥教と詫間憲久がぶどう栽培とワイン醸造を試みたことが第一歩とされています。 その後、1877年には日本初の民間ワイン会社「大日本山梨葡萄酒会社」が設立され、本格的なワイン造りが始まりました。ワインは、果汁に含まれる糖分が酵母の働きによってアルコールへと変わる「発酵」によって生まれる飲み物です。人の手と微生物の力が合わさって造られる点で、味噌などと同じく、ワインも代表的な発酵食品のひとつになっています。

年代出来事
1870年頃甲府の山田宥教らがワイン醸造を試みる
1877年初の民間ワイン会社「大日本山梨葡萄酒会社」が勝沼に設立される
1877年高野正誠と土屋龍憲が醸造技術を学ぶためフランスへ派遣される
2010年「甲州」が国際ブドウ・ワイン機構(OIV)に品種登録される
2013年地理的表示「山梨」が国税庁長官から指定を受ける

現代に受け継がれる甲府の発酵食品

武田信玄の時代から続く甲府の発酵文化は、現代の私たちの暮らしの中にも色濃く息づいています。ここでは、伝統の味を守り続ける老舗や、発酵の魅力を体感できるスポットをご紹介します。

伝統製法を守り続ける老舗

甲府には、創業から百年以上、昔ながらの製法で発酵食品を作り続ける老舗があります。時代が変わっても、職人の手仕事によって生まれる味は、今も多くの人々に親しまれています。

店名主な商品特徴
五味醤油甲州みそ、麹、醤油、削り節、豆菓子明治元年創業。米麹と麦麹をあわせた甲州みそを木桶で仕込む伝統製法を守っています。
おかめ麹甲州みそ、麹、大豆、塩、漬物明治27年創業。手作りの麹と味噌を製造販売しており、味噌作りの材料も揃います。
SADOYA甲州ワイン大正6年創業。甲府駅近くにありながら自家農園産のぶどうでワインを醸造しています。

発酵文化を体験できる場所

甲府の食文化をより深く知るなら、実際に作ったり味わったりする体験がおすすめです。自分で手を動かすことで、発酵の不思議さや面白さをきっと感じられます。

味噌作り体験ワークショップ

「手前味噌」という言葉があるように、かつて味噌は各家庭で仕込むものでした。甲府市の「五味醤油」では、毎年冬から春にかけて「手前みそ教室」を開催しています。 材料はすべて用意されているので、初めての方でも気軽に参加できます。自分で仕込んだ味噌が発酵していく様子を観察するのも楽しく、できあがった時の喜びはひとしおです。 また、「おかめ麹」でも味噌作りスペースが提供されており、スタッフのサポートを受けながら自分だけの味噌を仕込めます。

ワイナリー見学とテイスティング

甲州ワイン発祥の地、山梨。甲府市内にも歴史あるワイナリーがあり、醸造の現場を間近に見ることができます。JR甲府駅から徒歩5分という好立地にある「SADOYA」では、ヨーロッパの雰囲気漂う地下セラーの見学ツアーが人気です。 専門ガイドの説明を聞きながら樽が眠る貯蔵庫を巡り、その場でテイスティングも楽しめます。

こうふはっこうマルシェとは

ホームページ画像|出典:KOFU HAKKOU MARCHÉ

ここでは、甲府の新しい食文化の発信イベントとして注目されている「こうふはっこうマルシェ」についてご紹介します。このマルシェは、甲府市が主催し2018年から始まったイベントで、甲府が誇る発酵文化と、日本一の出荷額を誇るジュエリーなどの地場産業の魅力を一度に体験できる催しです。 山梨県内のお店はもちろん、全国から集まった個性豊かな「はっこう仲間」たちとの出会いが待っています。

食べて、学んで、楽しむ。発酵の魅力が詰まったマルシェ

こうふはっこうマルシェの魅力は、食品や雑貨を買うだけにとどまりません。甲州みそやワイン、日本酒、パン、お菓子といった多彩な発酵食品を味わえるのはもちろん、作り手のこだわりを直接聞けるのも楽しみの一つです。 また、さまざまなワークショップも開催されることがあり、発酵をより身近に感じられます。 会場ではコンサートなどのステージイベントも行われ、家族や友人と一日中楽しめる空間が広がっています。

2026年は、舞鶴城公園 自由広場こうふ亀屋座で、より魅力的な出店ラインナップに加え、体験型の「はっこう」コンテンツを充実させ、甲府ならではの食文化を存分に楽しめる内容で開催予定です!

項目内容
開催日2026年3月7日(土)
開催時間10:00~16:00
開催場所・舞鶴城公園 自由広場
・こうふ亀屋座
主な内容発酵食品、ジュエリー、クラフト製品の販売、ワークショップ、ステージイベントなど
公式サイト最新情報は KOFU HAKKOU MARCHÉ の公式サイトをご確認ください。

舞鶴城公園

舞鶴城公園の自由広場は、甲府の食文化を発信するイベント「こうふはっこうマルシェ」の開催場所のひとつです。舞鶴城公園は、甲府駅からほど近い場所に広がる甲府城跡を整備した歴史公園で、重厚な石垣や城郭の面影が今も残り、かつて甲斐の国の中心として栄えた城下町・甲府の歴史を身近に感じることができます。

天守台からは市街地や周囲の山々を望むことができ、四季折々の風景も楽しめる、市民や観光客に親しまれているスポットです。過去と現在が交差する舞鶴城公園で、歴史に思いをはせながら発酵の奥深さに触れるひとときは、甲府ならではの体験になります!

項目内容
住所山梨県甲府市丸の内1丁目5-4
アクセス甲府駅南口から徒歩約3分
※自由広場までは、徒歩約10分/自由広場は、お堀にかかる遊亀橋を渡った先に広がる広場

こうふ亀屋座

「こうふはっこうマルシェ」のもうひとつの開催場所になっている、こうふ亀屋座。甲府の中心市街地に位置する、歴史とにぎわいを受け継ぐ文化交流施設です。かつて芝居小屋や商いの場として人々が集ったこの地の記憶を大切にしながら、現在はイベントや展示、体験型プログラムなどを通して、まちの魅力を発信しています。

こうふ亀屋座では人と人、そして甲府の食と物語が近くにつながる時間が流れます。こうふはっこうマルシェを通して、甲府の発酵文化をより深く味わえる場所として来場者を迎えます。

屋内空間ならではの落ち着いた雰囲気の中で、発酵食品の魅力にじっくり触れられるのが特長です。つくり手の想いや製法の話を聞いたり、試食や体験を通して発酵の奥深さを感じたりと、会話を楽しみながら学べるひとときが広がります。

項目内容
住所山梨県甲府市丸の内1丁目11-5
アクセス甲府駅南口から徒歩約10分
公式サイトこうふ亀屋座

小江戸甲府 花小路

小江戸甲府花小路は、こうふ亀屋座に隣接する、小江戸情緒あふれる小路です。石畳の通りに町家風の建物が並び、江戸情緒を感じさせる落ち着いた雰囲気の中で、甲府らしい時間をゆったりと楽しむことができます。

飲食店や土産物店などが軒を連ね、地元の食材や文化に触れられるのも魅力のひとつ。こうふ亀屋座でイベントや公演を楽しんだあとに立ち寄れば、まち歩きの余韻をそのまま味わうことができます。

こうふはっこうマルシェの開催時には、こうふ亀屋座とあわせて訪れることで、甲府の食や文化をより感じることができます。歴史とにぎわいがほどよく調和した、小江戸甲府花小路で、まち歩きの楽しさと、甲府ならではの魅力をぜひ体感してみてください。

旅の記念に 甲府の歴史を感じる発酵食品

甲府での楽しい思い出を、おうちの食卓にも持ち帰りませんか。ここでは、大切な人の顔を思い浮かべながら選びたくなる、甲府の歴史と風土が育んだとっておきのお土産をご紹介します。

お土産に選びたい伝統の発酵食品

毎日の食卓で活躍するものから、特別な日に味わいたいものまで、甲府ならではの発酵食品は旅の記念にぴったりです。代表的なお土産をいくつか見ていきましょう。

種類特徴選び方のポイント
甲州みそ
米麹と麦麹をあわせて仕込む、全国的にも珍しいお味噌です。 すっきりとした旨味と豊かなコクが特徴で、甲府の郷土料理「ほうとう」には欠かせません。毎日の味噌汁に使いやすい甘口タイプや、ほうとう用の出汁入りタイプなどがあります。 製造元によって風味も様々なので、好みに合わせて選んでみてください。
甲州ワイン
日本固有のぶどう品種「甲州」を使った白ワインが有名です。和食に合うすっきりとした辛口から、デザートにぴったりの甘口まで、個性豊かなワインが揃っています。たくさんのワイナリーがあるので、ラベルのデザインで選んだり、訪れたワイナリーの限定品を選んだりするのも楽しいです。 飲み比べできる小瓶のセットもお土産として人気があります。
ほうとうセット
もちもちとした食感の生麺と、特製の味噌がセットになった商品です。 かぼちゃやきのこなどの野菜を用意するだけで、家庭で手軽に本場の味を再現できます。常温で持ち帰れる商品も多く、お土産に便利です。 キムチ味などの変わり種や、具材がすべて入ったセットなど、種類も豊富です。

まとめ

甲府の発酵食品は、武田信玄の時代から受け継がれてきた知恵と、この土地ならではの気候風土が育んだ大切な食文化です。保存性と栄養を兼ね備えた味噌はかつて軍用食として重宝され、日本ワインの原点ともいえる甲州ワインは、時を超えて今も私たちの食卓に彩りを添えています。

そうした甲府の発酵文化の魅力を一度に体感できるのが、「こうふはっこうマルシェ」です。市内外の蔵元やつくり手が集い、味わうだけでなく、背景にある歴史や製法、発酵の面白さに触れられる場として、多くの来場者を迎えてきました。

甲府を訪れた際には、ぜひ発酵食品を通して、このまちの物語を感じてみてください。旅の思い出としてはもちろん、誰かに贈りたくなるような、心に残る一品との出会いがきっと待っています。

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