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2025.10.19

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知られざる甲府うなぎの歴史!名産として愛される伝統とその魅力

写真:ニホンウナギ 大門

甲府にうなぎ文化があったって本当?江戸時代から続く甲府うなぎの深い歴史や、豊かな水と職人の技が織りなす名産たる理由を解説します。豊富な水資源と秘伝のタレ、そして職人の技が、甲府のうなぎを特別な名産に育て上げました。全国でも珍しく、うなぎを祀る原山神社の伝承やご利益から、甲府で最高のうなぎを味わうお店選びの秘訣まで、甲府うなぎの魅力をお伝えします。

はじめに 甲府のうなぎ文化へようこそ

山梨県の県庁所在地、甲府市。豊かな自然に恵まれたこの地は、古くから多くの人々を魅了してきました。そんな甲府の地で、ひっそりと、しかし深く根付いている食文化が、うなぎです。

「甲府でうなぎ?」と意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、江戸時代から続く長い歴史と、この土地ならではの風土が育んだ伝統が息づいています。

なぜ甲府のうなぎが「名産」として愛され続けてきたのか、その歴史の深さや、豊かな水資源、そして職人の技が織りなす極上の味わいをご紹介します。甲府のうなぎ文化に触れ、その奥深い世界をのぞいてみてください。

甲府うなぎの歴史を紐解く

甲府の歴史の中で、うなぎがどのように愛されてきたのか、一緒に紐解いていきましょう。古くからこの地で親しまれてきたうなぎの物語は、甲府の食文化を深く知る上で欠かせないものです。

江戸時代から続く甲府とうなぎの縁

海から遠く離れた甲府盆地では、古くから川魚が貴重なタンパク源として重宝されてきました。特に、富士川水系をはじめとする豊かな水資源に恵まれていたため、天然のうなぎが多く生息していたと言われています。戦国時代には武田信玄公が治めたこの地でも、うなぎは栄養豊富な食材として、人々の暮らしを支えていたと考えられています。当時の記録や言い伝えの中にも、うなぎが登場する場面が見られます。

江戸時代に花開いた甲府のうなぎ食文化

江戸時代に入ると、日本の食文化は大きく発展し、うなぎも庶民の食卓に広まっていきました。甲府は城下町として栄え、多くの人々が行き交う中で、うなぎ料理も多様な形で楽しまれるようになります。この頃には、うなぎを美味しく焼き上げる技術や、それぞれの店で工夫を凝らした秘伝のタレが生まれ、現在の蒲焼の原型が形成されていったと考えられています。甲府の豊かな自然が育む新鮮なうなぎは、多くの人々に愛され、食文化の一部として深く根付いていったのです。

近代における甲府うなぎの発展

かつて甲府には、江戸時代の末頃に7軒、明治時代に入っても8軒もの鰻料理店があったといわれています。明治期の当時は、うなぎ御膳が25〜30銭、大蒲焼が12〜16銭、うなぎ丼が5〜12銭ほどで提供されていたそうです。また、静岡県で獲れたうなぎが生きたまま籠に入れられ、中道往還を通って甲府まで運ばれていたことも記録に残っているそうです。

明治時代以降、交通網の発達とともに、甲府はさらに多くの人々が行き交う拠点となりました。この時期には、天然うなぎだけでなく、安定した供給を可能にする養殖技術も導入され始めます。甲府には、この時代から続く多くのうなぎ専門店が創業し、それぞれの店が長年培ってきた独自の味と技術を守り、磨き続けてきました。これらの老舗の努力と、新しい時代に対応する工夫が、甲府のうなぎが「名産」となるきっかけになりました。甲府のうなぎは、地域の歴史と文化を伝える大切な存在として、今も多くの人々に愛されています。

参考・出典:甲府市公式サイト

なぜ甲府のうなぎは名産となったのか

豊かな水資源が育む極上のうなぎ

甲府盆地は、富士川や笛吹川といった清流に恵まれ、その地下には豊富な伏流水が流れています。街中に流れる荒川や相川、濁川、貢川などでもうなぎが獲れたと言われ、澄み切った水こそが、甲府のうなぎを名産たらしめる大切な要素の一つになりました。きれいな水で育つうなぎは、身が引き締まり、余計な臭みがなく、本来の旨みが際立ちます。まるで、清らかな水がうなぎの身に、すっと染み渡るような味わいを届けてくれます。

この恵まれた水環境が、古くから甲府の人々にうなぎ食文化を育む土壌を与えてきました。自然の恩恵を大切にしながら、上質なうなぎを育て、提供し続けていることが、甲府のうなぎが多くの人に愛される理由となっています。

秘伝のタレと職人の技が織りなす味わい

甲府のうなぎが名産になったのは、水が良いだけではありません。長年受け継がれてきた「秘伝のタレ」と、熟練の「職人技」が一体となって、他にはない深い味わいを生み出しています。

各店で代々受け継がれるタレは、醤油やみりん、砂糖などを絶妙なバランスで調合し、うなぎの旨みが溶け込むことで、まろやかで奥深い味わいへと熟成されます。このタレを何度もくぐらせては焼き上げることで、うなぎの身に香ばしさとコクがじんわりと染み渡ります。

また、うなぎをさばき、串を打ち、そして焼き上げる職人の手腕も欠かせません。関東風の調理法を取り入れる店が多く、一度蒸してから焼き上げることで、うなぎはふっくらと柔らかく、とろけるような食感に仕上がります。備長炭などで丁寧に焼き上げることで、皮はパリッと香ばしく、中はふっくらとした、至福のハーモニーが生まれます。職人の細やかな気遣いと長年の経験が、一口ごとに感動を届けてくれるのです。

甲府独自のうなぎ料理とその魅力

甲府では、伝統的なうなぎ料理の枠を超え、独自の工夫を凝らした食べ方や、その土地ならではの楽しみ方が見られます。うなぎ本来の味を最大限に引き出しながら、訪れる人々に新しい発見と喜びを提供しています。

甲府のうなぎ料理の魅力は、その多彩な提供方法にもあります。定番のうな重やうな丼はもちろんのこと、うなぎの蒲焼や白焼きをシンプルに味わうことで、その品質の高さと職人の技をじっくりと堪能できます。また、地元の食材と組み合わせた季節限定の料理や、酒の肴としても楽しめる一品料理も豊富です。

ここでは、甲府で味わえる主なうなぎ料理とその特徴をご紹介します。

料理名特徴
うな重ふっくらと蒸し焼きにしたうなぎに秘伝のタレをまとわせ、ご飯の上に盛り付けた定番料理です。甲府のうなぎは身の旨みが格別で、ご飯との相性も抜群です。
うな丼うな重と同様に、タレの染みたうなぎをご飯にのせた一品。手軽に甲府のうなぎを味わいたい時に選ばれます。
白焼きタレをつけずに素焼きにしたうなぎです。うなぎ本来の繊細な風味と、身の締まりを直接感じられます。わさび醤油や塩でさっぱりといただくのがおすすめです。
肝吸いうなぎの肝を使ったお吸い物で、うな重やうな丼に添えられます。滋味深く、うなぎ料理の風味を一層引き立てます。

このように、甲府のうなぎは、豊かな自然の恵みと、受け継がれてきた職人の技、そしてそれを最大限に活かす料理人の心意気が結びつき、訪れる人々の心に残る「名産」として愛され続けているのです。

参考・出典:甲府市公式サイト

うなぎが祀られている原山神社

甲府のうなぎの歴史をたどると、食文化だけでなく、信仰とも深く結びついていることがわかります。その象徴ともいえるのが、甲府市にある原山神社です。この神社は、全国的にも珍しく、うなぎが祀られていることで知られています。

全国でも珍しい?うなぎが祀られている理由

原山神社にうなぎが祀られている背景には、古くからの言い伝えがあります。昔、神社のそばを流れる相川ではたびたび洪水が起こり、疫病が広がったことがありました。困り果てた人々が原山神社に祈願したところ、川の神の怒りを鎮めるため「うなぎを3匹放流せよ」とのお告げがあり、それを実行すると洪水も疫病もおさまったと伝えられています。

この言い伝えを受け、現在でも毎年8月にうなぎを3匹放流する風習が続いています。「無病息災」「うなぎのように細く長く生きる」「困難を粘り強く乗り越える」といった願いが込められています。この信仰から、原山神社にはうなぎの絵馬などもあり、うなぎが祀られています。

原山神社のご利益とは

うなぎを祀る原山神社は、古くから地域の人々に様々なご利益をもたらしてきました。うなぎが祀られていることで、原山神社は“うなぎのようにスルスルと安産”が叶うとされ、また、“腹(原)を病ま(山)ない”として、お腹の病にもご利益がある神社としても知られています。

ご利益の種類具体的な内容
安産うなぎのようにスルスルと安産が叶うといわれている     
お腹の病気平癒神社の名称「原山」から転じて、腹を病まないとされる

原山神社を訪れることで、甲府のうなぎ文化の奥深さと、それが育んできた地域の信仰心にも触れることができます。

参考・出典:甲府市公式サイト

甲府で味わうべき うなぎの名店と選び方

甲府を訪れたなら、ぜひ味わっていただきたいのが、この地で育まれたうなぎ料理です。長年愛されてきた老舗の味から、新しい風を感じさせるお店まで、それぞれの魅力があります。ご自身の好みに合わせて、お気に入りの一軒を見つけてみてください。

老舗が守り続ける伝統の味

甲府には、歴史とともに歩んできた老舗のうなぎ店が数多くあります。これらの店は、代々受け継がれてきた秘伝のタレと、熟練の職人が織りなす確かな技術で、変わらぬ伝統の味を守り続けています。備長炭でじっくりと焼き上げることで生まれる香ばしさと、ふっくらとした身のハーモニーは、まさに格別です。落ち着いた空間で、ゆったりと食事を楽しみたいとき、老舗の味は心を満たしてくれます。

特徴魅力
秘伝のタレ長年の歴史が育んだ、深みのある甘辛い味わいが食欲をそそります。
熟練の職人技一串一串、丁寧に焼き上げることで、うなぎ本来の旨みを最大限に引き出します。
備長炭焼き炭火でじっくりと焼き上げることで、皮はパリッと、身はふっくらとした仕上がりになります。
落ち着いた雰囲気歴史を感じさせる空間で、大切な人との食事や、特別な時間を過ごすのにぴったりです。

甲府市内にある、うなぎ老舗店おすすめ3選のご紹介。

【黒駒楼】
住所:山梨県甲府市青沼1丁目3-13
営業時間:11:00~14:00/16:00~20:00
定休日:月・木曜日

若荒井
住所:山梨県甲府市中央1丁目18-7
営業時間:11:30~14:00(LO)/17:00~20:00(LO)
定休日:水曜日

【武蔵屋本店】
住所:山梨県甲府市相生2丁目16-3
営業時間:11:30~14:00/17:00~21:00
定休日:日曜日

新しい風を吹き込む甲府のうなぎ店

伝統を大切にしながらも、甲府のうなぎ文化に新しい風を吹き込むお店もあります。モダンな空間でうなぎ料理を提供したり、カジュアルな雰囲気で気軽にうなぎを楽しみたい方におすすめ。テイクアウトが可能なお店もあり、ご自宅で甲府うなぎの味を楽しむこともできます。

特徴魅力
モダンな空間洗練された内装で、若い世代の方や女性の方も気軽に訪れることができます。
カジュアルな雰囲気普段使いにも利用しやすく、日常の中でうなぎを楽しむ機会を増やしてくれます。
テイクアウト対応自宅でゆっくりと、またはお土産として、甲府のうなぎの味を楽しむことができます。

小江戸甲府花小路に新しくオープンしたうなぎ店「ニホンウナギ大門」

ニホンウナギ大門のうなぎは、気軽に楽しめる手頃な価格ながら、味は本格派。お一人様からご家族まで、落ち着いたモダンな雰囲気の中でこだわりのうなぎ料理をゆっくりと堪能できます。薬味や出汁で味の変化を楽しめる「ひつまぶし」も人気の一品。お好みに合わせて、うなぎの奥深い味わいを存分にお楽しみください。店内での食事はもちろん、テイクアウトやケータリングにも対応しており、ご家庭の食卓や職場の集まり、イベントなど、さまざまな場面で本格うなぎの味をお楽しみいただけます!

【ニホンウナギ 大門】
住所:甲府市丸の内1丁目10ー6
営業時間:10:30~14:30
定休日:不定休

ニホンウナギ大門 公式Instagram

小江戸甲府花小路は、甲府駅近くのレトロな雰囲気漂うエリアです。石畳の路地には、江戸の趣を感じさせるお店が軒を連ね、どこか懐かしい気分にさせてくれます。“和”を感じる空間は、フォトジェニックなスポットとしても人気が高く、旅の思い出に残る素敵な写真をたくさん撮ることができます。ぶらぶらと散策しながら、気になるお店に立ち寄ってみるのも楽しい時間です。うなぎを堪能したあとは、ぜひ散策をお楽しみください。

甲府うなぎを最大限に楽しむためのポイント

甲府でうなぎを味わうなら、いくつかのポイントを知っておくと、より一層その魅力を感じられます。お店選びから、うなぎの食べ方まで、旅の思い出に残るうなぎ体験のために、ぜひ参考にしてみてください。

  • 事前の予約を検討する
    人気店では、特に週末や祝日には混み合うことがあります。スムーズに食事を楽しむためにも、事前の予約をおすすめします。
  • 白焼きと蒲焼きの食べ比べ
    タレで味付けされた蒲焼きだけでなく、うなぎ本来の味をシンプルに楽しめる白焼きもぜひ試してみてください。わさび醤油や塩でいただく白焼きは、うなぎの質を直接感じられる贅沢な一品です。
  • 地元の日本酒やワインとの組み合わせ
    山梨は日本酒やワインの産地でもあります。うなぎの脂と相性の良い地元の飲み物を見つけて、マリアージュを楽しむのもおすすめです。
  • 季節の移ろいとともに味わう
    うなぎは一年を通して美味しいものですが、季節によって脂の乗り具合や身の締まりに違いがあります。訪れる時期ごとのうなぎの風味を感じてみるのも、楽しみ方の一つです。

まとめ

甲府のうなぎは、江戸時代から続く長い歴史の中で、豊かな水資源が育む極上のうなぎ、そして代々受け継がれる秘伝のタレ、職人の確かな技が合わさり、特別な名産として愛されてきました。全国でも珍しいうなぎを祀る原山神社の存在も、甲府とうなぎの深いつながりを今に伝えています。甲府のうなぎは、歴史と文化が息づく味わいとして、多くの人に親しまれています。甲府を訪れた際には、ぜひその伝統のうなぎを味わい、笑顔あふれるひとときを過ごしてみてください。

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